2020年東京五輪・パラリンピックの会場見直しのため、29日に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者によるトップ級会合。大会予算などを巡り、各者の認識のズレが垣間見えた場となった。
会合は情報公開を進める小池百合子都知事の意向に沿う形で、10月のIOCのトーマス・バッハ会長との面談に続き、報道陣に全て公開された。
最も溝を感じさせたのは、組織委の森喜朗会長と小池知事のやり取り。新設の「有明アリーナ」(東京都江東区)か、既存の「横浜アリーナ」(横浜市)か注目されたバレーボール会場について小池知事は「クリスマスまでには結論を出したい」と判断を先送りした。これに対し、森会長は「小池さんね、クリスマスまでにまだ何をおやりになるんですか?」とただした。
観客の移動経路や整備費の見直しなどと答えた小池知事に対し、森会長は「(横浜アリーナ開催は)横浜市と合意をしているのですか。僕の知り得る情報では横浜市が迷惑していると聞いている」などと指摘。「喜んで迎える体制があと1カ月で取れますか?」「くどいようだが横浜市はオッケーしてくれると、知事は判断しているということですね」と重ねて問いただした。
会場整備の費用分担を巡っては、11年12月の閣議了解で国は特別な負担をしないことになったと丸川珠代五輪担当相が説明。これに対し小池知事は「(閣議了解は)民主党政権時代。IOCの前で繰り広げる話ではないかもしれないが、改めて役割を明確にする必要がある」と求めた。
大会総予算については、組織委とIOCの食い違いも見られた。組織委の武藤敏郎事務総長は「2兆円を切る見込み」と表明したのに対し、IOCのジョン・コーツ副会長は「2兆円でも高すぎる。それよりずっと下でいける」と気色ばんだ。森会長は小池知事側が「3兆円」との試算を出したことに「3兆円が予想されることばかり国民に言われると、はなはだ迷惑」と不快感をあらわにした。
終了後、横浜アリーナ会場案について小池知事は「詳しく言わないが、横浜でも歓迎いただいていると思っている」と述べたが、森会長は「ある日突然、知らない人がお嫁さんに決まりました、と言われてうれしいですかね」。世界的イベントを仕切らなければならない両者の溝は最後まで埋まらなかった。【芳賀竜也、円谷美晶】
2016年11月29日
毎日新聞(無料)から
(引用)
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東京五輪:会場見直し、4者の認識にズレ 予算面でも
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