新国立競技場計画をめぐる経緯
新国立競技場の建設計画見直しに関し、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が今月、2度にわたり、国内の設計業者と約24億7000万円の契約を結んでいたことが23日、分かった。安倍晋三首相は17日、見直しの検討は約1カ月前に始めたと発言。見直し検討中に、新規契約が結ばれるダブルスタンダードの計画が、官邸と文科省で同時進行していた可能性が強まった。東京五輪開会式まで今日24日で5年、祭典の舞台をめぐる混乱は、収束の見通しが立たない。
契約をめぐっては、JSCが、デザインを手がけたザハ・ハディド氏の事務所や設計業者、ゼネコンと約59億円の契約を結び、計画の白紙撤回に伴い、大半が「無駄払い」になる見通しであることが、すでに分かっている。
計画見直しについて、安倍首相は17日の会見で「約1カ月前から検討を進めてきた」と述べたが、本格的な見直しに着手したのは、7月以降とされる。この日判明した2件の契約は、官邸サイドによる見直し検討期間と重なる。
首相は今月10日、見直しは現実的に難しいと述べながら、安保関連法案の衆院強行採決での支持率急落を恐れ、「文科省を見切り、急転直下の見直し」(野党関係者)に動いた可能性も指摘される。実際、JSCや文科省は21日の同会合で、首相の見直し発表は「報道で初めて知った。最終決断に至る過程に、我々は関わっていない」と明言。計画の見直しと検討が同時進行する、あり得ない状態だった恐れが高まってきた。
検討本部長の蓮舫代表代行は「1カ月間の検討を、どこで誰がやったのか分からない。見直しを検討している時になぜ、新たな契約をしたのか。国民の税金だ」と批判。今後、ダブルスタンダード問題を徹底追及する。
2015年7月24日9時29分
日刊スポーツ紙から
(引用)
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新国立見直し中に新たな契約 文科省知らなかった
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