東京都の豊洲市場(江東区)の地下水から国の環境基準値の最大79倍に当たるベンゼンなどが検出された問題で、都が31日にも再調査を開始することが、都関係者らへの取材で分かった。市場内の全調査地点201カ所から約30カ所を抽出し、採取した地下水を分析。延べ9社が関わった採水・分析方法も検証し、3月中に結果を公表する。数値が急激に上昇した原因を解明できるかも注目される。【川畑さおり、芳賀竜也、森健太郎】
都などによると、調査地点は最終9回目のモニタリングで高濃度のベンゼンなどの有害物質が検出された場所が中心となる。201カ所を再調査すると数カ月かかるため、約30カ所に絞るという。
外部有識者の専門家会議は、有害物質の濃度が9回目に急上昇した原因について、地下水位と水質を一定に保つために、敷地内の三つの街区に設置された「地下水管理システム」の稼働が影響した可能性を指摘している。
管理システムは、計58カ所の井戸からポンプで地下水をくみ上げる。青果棟がある5街区では、基準値をわずかに上回る有害物質が初めて検出された8回目調査の採水(昨年8月24日~9月9日)直前の8月8日に試運転を開始。水産仲卸売場棟がある6街区、水産卸売場棟がある7街区では、9回目の採水(同11月21日~12月6日)の約2カ月前の9月12日に試運転がスタートし、10月14日から各街区で本格稼働した。
8回目の調査では5街区の3カ所、9回目は全街区の72カ所から有害物質が検出されたが、管理システムの稼働で地下水がかくはんされた結果、底にたまった有害物質を含む泥や砂が混ざったことも考えられるという。
ただ、今月4日に管理システムが吸い上げた水を分析したところ、基準値を超える有害物質は検出されなかった。このため専門家会議は調査を担当した各業者の調査方法に違いがあったとの見方も示している。
例えば、採水に使用する筒にはプラスチック製の使い捨てとガラス製の使い回しなどがある。使い回しの筒を十分に洗浄しない場合、付着していた有害物質が検出されてしまうことも考えられるという。
都によると、9回の調査の採水は5社が、分析は4社が担当した。環境省のガイドラインに基づいて実施されたが、いずれの業者も取材に「契約上の守秘義務がある」として調査方法に関する具体的な説明を拒んでいる。
2017年01月23日
毎日新聞(無料)から
(引用)
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豊洲市場:地下水再調査31日にも開始 採水方法も検証
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