仙台市教委は21日、市立中学1年の男子生徒が昨秋に自殺し、調査の結果、学校でのいじめと関連性があったと発表した。学校は昨年5月に保護者の訴えでいじめを把握し、複数の加害生徒らを指導したが、その後の対応が不十分だったという。大越裕光教育長は記者会見で「ご遺族にお悔やみとおわびを申し上げる。防ぐことができなかったのかと思うと残念でならない」と謝罪した。
市教委や第三者委員会の調査によると、男子生徒は昨秋、自殺を図り、病院に運ばれたが数日後に死亡した。遺書はなかった。自殺を図った前日、保護者に「転校したい」などと話したという。
男子生徒は昨年4~5月ごろから学校で仲間外れにされたり、消しゴムのかすをぶつけられたりした。男子生徒は5月に不登校気味になり、保護者が「いじめを受けている」と担任教諭に相談。担任も男子生徒が校内で泣いているのを目撃した。
学校は同月、加害生徒3人に指導し、男子生徒に対して謝罪させた。その後も保護者から相談があり、7月にも加害生徒5人を集め、男子生徒に謝罪させた上で、学年集会も開催した。
しかし、男子生徒はその後も友人から「ちくった(いいつけた)」「変態」などと言われた。保護者から相談を受けた担任は、男子生徒に事情を尋ねたが「大丈夫」との答えだったため、管理職に報告しなかった。
保護者からの相談は5月以降計6回あったという。学校は一連のいじめについて市教委に報告しなかった。
自殺を受け市は昨年11月、常設の第三者委に調査を依頼。第三者委は関係生徒に聞き取りをした上で今年6月、加害生徒への指導で状況が好転したか、報復はないかを確認しなかった▽一部の加害生徒の保護者に連絡せず、家庭との情報共有ができなかった--などとする報告書をまとめた。これを受け、市教委は男子生徒の保護者に謝罪した。
保護者は市教委を通じて「調査結果によって全貌が分かった。加害生徒はいじめは犯罪になる場合もあると認識し、深く反省してほしい」とのコメントを発表した。【山内真弓】
◇男子生徒自殺の経緯
<2014年>
4~5月 友人らから見下す言葉をかけられたり、仲間外れにされたり、消しゴムのかすをぶつけられたりするいじめを受ける
5月 不登校がちになる。保護者がいじめについて担任に相談。担任が男子生徒が泣く姿を目撃。学校として加害生徒を指導し、男子生徒に謝らせる
7月 保護者からの相談を受け、加害生徒への2回目の指導。学年集会を開く。その後、男子生徒は「ちくった(いいつけた)」などと友人に言われる
8月ごろ 友人らから「変態」「寝ぐせがひどい」などとからかわれる
秋ごろ 「転校したい」と親に言った後に自殺
11月25日 市教委が第三者委員会に調査を依頼
<2015年>
6月23日 第三者委が市教委に調査結果を答申。市教委が男子生徒の保護者に謝罪
8月21日 市教委が男子生徒の自殺を公表
2015年08月21日
毎日新聞(無料)から
(引用)
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いじめ中1自殺:相談5月から6回 仙台市教委に報告なし
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