長崎県佐世保市瀬戸越の松浦鉄道(MR)泉福寺駅付近の線路で25日、近くに住む女児(2)が伊万里発佐世保行きの上り列車(1両編成)にはねられ、頭の骨を折って意識不明の重体となった。佐世保署は遮断機のない「勝手踏切」と呼ばれる通り道を渡っている最中に事故に遭ったとみて調べている。MRは「勝手踏切は昔から生活道路として使われてきたことから、閉鎖は難しい」として再発防止に苦慮している。
事故は25日午前9時半ごろ発生。佐世保署によると、事故時、勝手踏切の反対側に女児の母親がいて、女児に渡らないよう声を出していた。運転士は「女の子が見えたので、警笛を鳴らしブレーキをかけたが、止まり切れなかった」と話しているという。
MRによると、同社が運行する佐世保-有田駅間の路線(全長93.8キロ)に勝手踏切は約250カ所あるが、人身事故が発生したのは初めて。現場では以前から、「通行危険」の看板を設置して注意を呼びかけていた。
近くに住む50代男性は「列車が来る直前でも横断する人がいて危ないと思っていた。いつか事故が起こるのではないかと心配していた」と話す。一方、勝手踏切を利用するという60代女性は「100メートルほど歩けば踏切はあるが、そこまで回り道するのは疲れる。便利だから使ってしまう」と打ち明けた。
MRは、往来の激しい勝手踏切では、看板設置の他、列車からも警笛を鳴らして注意してきた。危険な横断が続く場合は近隣住民に通行自粛を要請。昨夏には、佐賀県伊万里市で自治会が自粛を受け入れた例もあるという。事故を受け、MRの井上弘秀運輸部長は「私たちが勝手に通行を禁止することはできないのが現状だ。今は注意してもらうようお願いするしかない」と話した。【浅野孝仁】
2016年10月27日
毎日新聞(無料)から
(引用)
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勝手踏切:はねられ女児重体 「生活で通行」禁止できず
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