今年度の季節性インフルエンザのワクチン供給が減少し、需要との差が187万本と、11年ぶりに100万本台に落ち込むことが厚生労働省の試算で分かった。ワクチン大手の化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)が熊本地震で被災したためで、危機感を抱いた厚労省は病院などに対し、5年ぶりに必要以上の注文を控えるよう通知した。いまだに入手できず、ワクチン接種を遅らせる医療機関も現れ始めた。
厚労省によると、今年度の製造(供給)量は2752万本で、前年度(3072万本)より約1割少なく、2010年度以降では最も少ない。使用(需要)量を前年度と同じ2565万本と見込むと、需給差は187万本と試算される。例年は200万本以上の余裕があるといい、100万本台になるのは、05年度以来11年ぶりだ。
製造量が落ち込んでいる主な原因は、化血研の被災だ。国内ではインフルエンザワクチンの製造業者は4社しかなく、このうち化血研は、熊本市北区にあるB型肝炎ワクチンを製造する施設が、熊本地震で天井に亀裂が入るなどした。同じ敷地にあるインフルエンザワクチン製造施設も運転を停止し、設備点検を余儀なくされた。
厚労省によると、ワクチン製造は、完成までに数カ月がかかる。このため、他の3社による急な増産は困難だという。
【蓬田正志、松本光央、小林直】
2016年09月30日
毎日新聞(無料)から
(引用)
↧
インフルエンザ:ワクチン供給1割減 熊本地震が影響
↧