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感染症:「蚊との闘い」局地的対策に限界 ジカ熱の危惧も

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 今年も蚊に悩まされる季節が近づいてきた。2年前、蚊が媒介する感染症のデング熱患者が国内で相次いだが、今年はリオデジャネイロ五輪・パラリンピックの開催国のブラジルでジカ熱が流行しているため、これも国内感染者が出るのではと危惧されている。東京都などはウイルスを運ぶ蚊の発生を減らす対策を強めているが、人の往来や温暖化が進む今の世界で「蚊との闘い」に勝つのは簡単ではない。【桐野耕一、野田武】

 東京都渋谷区の都立代々木公園で4月18日、蚊がウイルスを保有していないか調べるための捕獲が実施された。顔を防虫ネットで覆った作業員は虫捕り網を振って蚊を捕り、ボウフラの発生状況を調べるため雨水のたまる雨水升もチェックした。この日捕れた蚊にウイルスはなかった。

 都は秋まで公園など25カ所を調査する。都の職員は「今年はジカ熱のウイルス検査もする。感染が広がらないよう警戒したい」と厳しい表情で語った。

 2014年8月、渡航歴のない国内のデング熱感染者が69年ぶりに確認された。海外で感染した人が帰国後に蚊に刺され、さらにその蚊が別の人を刺さなければ国内感染は起きない。当初は感染は限定的と思われたが、感染者は162人に達し、広がりの中心になったのが代々木公園だった。

 都が同9月に園内20地点で蚊を採取したところ、10地点の蚊からウイルスを検出。担当者は「流行地の東南アジアでも、ウイルスを保有する蚊が確認されるのはまれだと聞いていたので驚いた」と振り返る。

 都は対策に乗り出し、園内のヤブなどに殺虫剤、雨水升に昆虫成長制御剤(IGR)をまいた。IGRはボウフラの脱皮を阻害し、成虫にさせない薬剤で、人や動物への影響は少ないとされる。

 昨年は他の昆虫を殺さないよう、IGRだけを代々木、上野など人が集まる11公園の雨水升計約3000カ所と周辺都道などの雨水升に月1回程度投入。品川区なども同様の対応を取った。結果的にデング熱の国内発生はなく、都は「蚊が比較的減っており効果が出ている」とみている。

 ただし、こうした局地的な対策は、数を増やしたとしても「点」としての予防でしかない。約10年前から住民が協力し、住宅街という「面」で蚊を減らす取り組みをしてきたのが、横浜市泉区の緑園2丁目自治会だ。

 「以前は玄関を開けるとすぐ家に入ってくるほど蚊がいたが、今はそれほど気にならなくなった」と、自治会長の杉山昌樹さん(68)は語る。

 2丁目には約740世帯が暮らし、公園に加えて庭のある一戸建てが多い。洗濯物を外に干すと多数の蚊に刺されるなど、蚊の悩みを訴える住民が多かった。そこで自治会が費用を出し、06年からIGRをまくことにした。4~9月に月1回、公道と各家庭の雨水升計857カ所に手分けして投入している。

 年5万~6万円の出費だが「この活動は住民同士の理解と協力が不可欠」(杉山さん)。デング熱が発生した2年前から市内の他の自治会からの問い合わせが増え、泉区緑園では1~7丁目の全域に活動が広がった。杉山さんは「蚊の発生を減らすには、ボウフラが発生しやすい植木鉢の受け皿にたまった水をなくすなど各家庭での取り組みも大切。今後も地域で力を合わせたい」と力を込める。

 ◇温暖化で広がる生息域

 さまざまな感染症を媒介する蚊は「人間にとって最も危険な生物」とも言われる。近年、地球温暖化や人の移動の広がりによって蚊媒介感染症の脅威は拡大しており、日本も例外ではない。

 蚊は種類によって、媒介するウイルスが異なる。デング熱やジカ熱のウイルスを運ぶのは、主にネッタイシマカとヒトスジシマカ。ネッタイシマカは日本にいないが、「ヤブ蚊」と言われるヒトスジシマカは広く分布する。年間2億人以上が感染するマラリアはハマダラカが媒介するが、国内の都市部ではほとんど生息していない。

 国立感染症研究所昆虫医科学部の小林睦生(むつお)さんによると、ヒトスジシマカの生息域は、盛岡市や秋田県北部より南。1950年ごろは栃木県、2000年ごろは宮城・山形県が北限だった。年間平均気温が11度以上の地域では生息可能とされ、気候変動のシミュレーションによると、35年までに青森県、2100年には札幌市まで広がる見通しという。

 ヒトスジシマカは冬に成虫が死滅するため、現時点ではウイルスが定着する可能性は極めて低い。だが、海外からウイルスが持ち込まれるのを避けるのは難しく、小林さんは「国内で蚊の生息域が広がり、密度も高くなっていれば、感染が拡大する恐れが高まる。注意が必要だ」と話す。

 ◇デング熱、ジカ熱 特効薬やワクチンなく

 ジカ熱とデング熱は、ともに発熱、関節痛、発疹などの症状があり、特効薬やワクチンはない。ジカ熱は、性交渉で感染した例も海外で報告されている。

 二つを比べると、症状が重くなりやすいのはデング熱だ。熱が38~40度程度まで急に上がり、一度かかった人が別の型のウイルスに感染すると、免疫が過剰に働いて死に至ることもまれにある。

 一方、ジカ熱は通常38.5度以下の発熱で済み、1週間以内に回復する。また、感染したら必ず発症するわけではなく、米疾病対策センター(CDC)によると、約8割は感染しても症状が出ないという。都野展子(つののぶこ)・金沢大准教授(生態学)は「感染者が自覚のないまま外出して蚊に刺され、感染を広めてしまうリスクはある。公園などへ行く時は長袖や長ズボンで蚊対策に配慮すれば、自分が感染源にならないで済む」と話す。

 ただし、妊婦は警戒が必要だ。CDCは4月13日、ジカウイルス感染が小頭症の赤ちゃんが生まれる原因になると結論付けた。ブラジルでは小頭症や脳障害が疑われる子の出生が昨年10月~今年1月で4000人を超える。
れば、自分が感染源にならないで済む」と話す。

 ただし、妊婦は警戒が必要だ。CDCは4月13日、ジカウイルス感染が小頭症の赤ちゃんが生まれる原因になると結論付けた。ブラジルでは小頭症や脳障害が疑われる子の出生が昨年10月~今年1月で4000人を超える。

2016年05月01日
毎日新聞(無料)から
(引用)




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